社内ワイン会がめっちゃよかった。5本飲んで、最後はマリオカートだった

社内ワイン会がめっちゃよかった。5本飲んで、最後はマリオカートだった

冨田希望冨田希望
公開日:
読了目安:8分

金曜の夜19時。仕事終わりの空気がちょっと残る時間に、社内でワイン会が始まった。

参加者は10人。ワイン部、記念すべき第1回の開催である。

とはいえ、会場にいた全員がワインに詳しいわけではない。グラスを持つと少しだけそれっぽく見えるけど、実態としては、ピザとローストビーフと生ハムとチーズが並んだ、かなり雰囲気のいい飲み会だ。

そして、これがめっちゃよかった。

ワイン部第1回、乾杯の様子

まずは白ワインで乾杯

最初に開けたのは、Bread & Butterのシャルドネ。

名前からして、もうおいしそうである。パンとバター。食べ物なのかワインなのか、一瞬わからない。でも飲んでみると、甘いバターを塗ったトーストみたいな丸さがあって、バニラっぽい香りと、少しナッツっぽい感じもある。白ワインなのに、ちゃんと「ふくよか」ってこういうことか、と思った。

トロピカルな果物っぽい明るさもあるし、飲み口はクリーミー。でも重すぎない。ピザやチーズをつまみながら飲むには、あまりに自然にハマる。

これは最高です。

Bread & Butter Chardonnay

たぶんこの時点で、僕たちは「今日はかなりいい会になるな」と思っていた。まだ1本目なのに、すでに満足度が高い。危険なスタートである。

社長のパワポで、アメリカワインを知る

乾杯して少し落ち着いたところで、社長が作ってくれたワイン会の資料を使って説明が始まった。

ワイン会でパワーポイントが出てくるとは思わなかったけど、これがちゃんとわかりやすい。普通の飲み会に、急に授業参観みたいな知性が入ってきた。

今回はアメリカワイン編。

「アメリカのワイン」と言われると、僕は今までナパ・ヴァレーをぼんやり思い浮かべるくらいだった。でも、話を聞いていくと、カリフォルニアとナパ・ヴァレーは同じものではない。

社長の資料でアメリカワインを学ぶ

カリフォルニアは広いエリアの話で、ナパ・ヴァレーはその中にある、ワインで有名な特定の地域。ざっくり言えば、「日本」と「東京」くらい違う。もちろん完全に同じ関係ではないけど、まずはそれくらいの理解でいい気がする。

つまり、カリフォルニアワインだから全部ナパ・ヴァレーというわけではない。ナパ・ヴァレーはカリフォルニアの中でも、さらに場所が絞られている。

このへんを知っただけでも、ボトルのラベルを見る目が少し変わった。今まで「アメリカ」としか見えていなかったものに、地図が出てきた感じがする。

パリスの審判。目隠しして飲む話ではなかった

今回、特に印象に残ったのが「パリスの審判」だった。

名前だけ聞くと、なんとなく神話っぽい。あるいは、ワインを飲みながら誰かが誰かを審判する、ちょっと怖い会なのかと思う。

実際には、1976年にパリで開催されたブラインドテイスティングのこと。フランスのワイン関係者たちが、フランスワインとカリフォルニアワインを、ラベルを隠した状態で飲み比べた。

ここでいうブラインドテイスティングは、目隠しをして飲む罰ゲームではない。ボトルの名前や産地を見えなくして、「有名だからおいしいはず」「フランスだから強いはず」みたいな先入観をなるべく減らす方法だ。

そして、その場でカリフォルニアワインがフランスの名だたるワインを抑えて高く評価された。

当時の「ワインといえばフランス」という空気を考えると、かなりの事件だったらしい。ブランドや歴史をいったん隠して、グラスの中身だけで勝負したら、カリフォルニアが勝った。

パリスの審判をイメージした生成イラスト

これ、ワインの話なのに、ちょっとスポーツ漫画っぽい。

無名の新人が、ずっと王者だった相手に勝つ。しかも審査員は相手のホーム側。そう考えると、カリフォルニアワインの「急に出てきたすごいやつ感」がよくわかる。

僕たちもその話を聞いたあと、少しだけ真剣な顔でワインを飲んだ。たぶん数分後にはローストビーフを取っていた。

マリアージュは、ワインと食べ物の相性の話

もうひとつ覚えたのが「マリアージュ」。

言葉だけ聞くと結婚の話だけど、ワインでいうマリアージュは、ワインと料理の組み合わせがよく合うこと。ワイン単体で飲むのもいいけど、食べ物と合わせたときに、それぞれのおいしさが少し増えるような組み合わせのことだ。

今回の料理でいうと、まずシャルドネとピザ、チーズの組み合わせがよかった。バターっぽく丸いワインに、チーズのコクとピザの香ばしさが重なる。脂っこさをワインの酸味が少し流してくれるので、また次の一口に行ける。

赤ワインは、生ハムやローストビーフとの相性がわかりやすかった。果物っぽい赤ワインは生ハムの塩気に寄り添うし、しっかりした赤ワインは肉のうまみを受け止めてくれる。

要するに、ワインと食べ物が「そっちはそっちで頑張ってね」ではなく、「一緒にやろうぜ」となる感じ。

ワインと料理のマリアージュを表現した生成イメージ

マリアージュには絶対の正解があるわけではなくて、最後は自分がおいしいと思えば勝ち。今回の僕の中では、ピザ、肉、チーズ、赤白ワインの順番をいろいろ試して、毎回それなりに勝っていた。

5本飲んだら、ワインの違いがちょっと見えてきた

今回は合計5本。

最初のシャルドネのあと、赤ワインに移っていった。

Wenteだったはずの赤ワイン

次に飲んだのは、たぶんWente。写真のラベルを見るとWENTEなので、名前はたぶん合っている。ただ、品種まで聞かれると、もうグラスの中に置いてきた。

Wenteの赤ワインと社長の資料

印象としては、フルーティーで、ふわっと広がるような赤ワインだった。

黒い果実やカシスっぽい濃さはあるのに、いきなり「重い赤です」と迫ってこない。口の中に赤い果物のクッションが一枚あるみたいで、赤ワインを飲み慣れていない人でも入りやすそうだった。

少しココアっぽい丸さもあった気がする。気がする、というのが大事なところである。でも、飲んだ瞬間に「これはフルーティーで、ふわっとするやつだ」と思ったのは覚えている。

Wenteの赤ワイン

Dark Horseは、重たいのに飲みやすい

続いてDark Horse。

これは結構フルボディ。口に入れたときの厚みがあって、赤い果実やベリーっぽい感じに、トーストした樽やモカっぽい香ばしさが重なる。

でも、ただ重いだけではない。飲み口はなめらかで、変に構えなくても飲める。いろいろな品種をブレンドして、単一品種だけでは出しにくい厚みを作っているらしく、「一人で全部やるより、得意分野の違うメンバーで組んだほうが強い」みたいなワインだった。

これは明らかに肉向き。

ローストビーフを食べて、Dark Horseを飲む。もう一度ローストビーフを食べて、また飲む。ここだけ切り取ると、マリアージュというより、肉を食べるための理由をワインに作ってもらっている。

Dark Horseと料理のあるテーブル
Dark Horse Red Blend

いちばん高かったDouble Diamond

そして、会場でいちばん高かったのがDouble Diamond。

ナパ・ヴァレーのワインで、だいたい15,000円くらいするらしい。値段を聞いた瞬間、グラスの持ち方が少しだけ丁寧になった。人間は値札に弱い。

飲んでみると、たしかにおいしい。

ブラックベリーやプラムのような濃い果実感があって、樽っぽい香ばしさや、黒いお茶みたいな落ち着きもある。口当たりはしっかりしているのに、タンニンが荒々しくなくて、飲み終わったあとに静かに余韻が残る。

ただ、正直に言うと、15,000円と5,000円の差を、僕の舌はその場で会計監査できなかった。

「こっちのほうが上品だな」とは思う。確実においしい。でも「この余韻にあと10,000円です」と言われて、すぐに納得できるほどの解像度はなかった。

ワイン、難しい。

Double Diamondのボトルとワイン会のテーブル
Double Diamond Cabernet Sauvignon

最後はBread & Butterのピノ・ノワール

最後に飲んだのは、Bread & Butterのピノ・ノワール。

シャルドネと同じシリーズだけど、こちらは赤い果実の方向。チェリーやラズベリーっぽい明るさがあって、少しカシス、やわらかい樽の香り。赤ワインらしい満足感はあるのに、飲み疲れするほど重たくない。

5本目にこれが来たのはよかった。しっかりした赤のあとに、少し気持ちが軽くなる。酔いは軽くならないけど、気持ちは軽くなる。

Bread & Butter Pinot Noir

当日の印象を並べると、こんな感じ。

順番ワイン僕の感想
1Bread & Butter シャルドネ甘いバターっぽさとクリーミーさ。乾杯から最高
2Wenteの赤フルーティーで、ふわっと広がる。入りやすい
3Dark Horseフルボディで厚い。でも飲みやすくて肉に合う
4Double Diamond濃くて上品。おいしいけど、値段の差はまだ修行中
5Bread & Butter ピノ・ノワールチェリー系の明るさ。終盤にちょうどいい

ちゃんと酔って、ちゃんと楽しかった

5本のワインを飲み比べていると、最初よりも少しずつ違いがわかるようになってきた。

フルーティーだとか、重いだとか、肉に合うだとか、口当たりがやわらかいだとか。言葉にすると急に専門家っぽくなるけど、実際には「これ好き」「こっちは肉」「これは高い味がする気がする」くらいの会話である。

でも、それで十分だった。

社内のワイン会と聞くと、もっと格式ばったものを想像するかもしれない。実際は、10人で料理を囲みながら、社長のパワポで少し学んで、5本飲んで、いい感じに酔う会だった。

つまり、かなり質のいい飲み会。

二次会は、合法的な飲酒運転

その後は二次会的にマリオカートをした。

もちろんゲーム内の話だけど、酔った状態でカートに乗るので、これが合法的な飲酒運転ってやつか、という話になった。

現実の道路では絶対にやってはいけない。でもゲームなら、赤こうらを投げても、コースアウトしても、誰も免許を失わない。たぶん。

そうして、みんな順番に解散していった。

ワインの違いを少し覚えた気もするし、細かいところはもう忘れた気もする。でも、「また開催して、また飲みたい」と思ったことだけは、かなりはっきり覚えている。

ワイン部第1回、めっちゃよかった。

次回も、ワインを5本くらい用意して、料理を並べて、誰かがパワポを作って、最後はまたマリオカートをしたい。

たぶん次も、ちゃんと勉強して、ちゃんと酔う。

参考にしたページ

ワインの産地や味わいの補足には、以下のページを参考にした。記事内の味の表現は、会場で飲んだときの印象としてまとめている。

確認日: 2026-08-15